映画 『自転車泥棒』 カットシーン、 出演者
出典: 20世紀・シネマ・パラダ イス
http://cinepara.iinaa.net/Ladri_di_Biciclette.html
自転車泥棒
Ladri di Biciclette
監督:
ヴィットリオ・デ・シーカ
(1948年/イタリア)
◆
イタリ ア・ネオレアリズモの代表作
・戦後のローマ。失業中の
アントニオ
は 運良く職安から市役所の仕事を紹介されたが、その仕事に就くには自転車が必要だった。困ったことに自転車は質屋に入れてある。町には失業者が溢れており、 このままでは仕事は他人に渡ってしまう…。
事情を聞いた妻の
マリア
がシー ツ6枚を質に入れ、その金で自転車を取り戻す事が出来た。アントニオは市役所で制服を渡された。明日から仕事だ。帰宅途中、マリアが占い師のところへ立ち 寄った。アントニオは、占いなどイカサマだと妻をたしなめた。
翌朝。6歳になる長男の
ブルーノ
が、 誇らしげに自転車を磨いていた。
アントニオの仕事はポスター貼り。先輩に要領を教えてもらい、早速仕事に就いた。梯子に登 り、ポスターを貼っている時、何者かが自転車に乗って走り去った。「
泥棒 !
」 。アントニオは後を追ったが逃げられてしまった。途方に暮れるアントニオ…。
警察署へ行ったが、「
自分で探せ
」 と言われてしまった。アントニオは友人の
バイオッコ
を訪ね、助けを求めた。心配したマリアも駆 けつけて来た。バイオッコは、盗品が売り出される可能性が高い広場を探そうと助言した。
翌日。広場には何百台もの自転車が売り出されていた。アントニオは血眼になって探していた が、雨が降り出し、広場は店じまいとなってしまった。
雨宿りをしていたアントニアは、犯人らしき男を見つけたが、またも逃げられてしまった。ア ントニオは男と会話をしていた老人の後を追って教会へ入り、老人を連れ出そうとした が、ちょっとした隙に逃げられてしまった。
「
甘いからだよ
」。咎められたアントニオは、思わずブルーノの頬を殴ってしまった。
機嫌を損ねてしまったブルーノにアントニオが声を掛けた。「
ピザでも食うか
」。ブルーノは笑顔で頷いた。
2人はレストランでワインとチーズを注文した。ブルーノと同じ年頃の子がいる隣のテーブルには、次々と料理が運ばれていた。アントニオはブルーノに話し て 聞かせた。「
あれだけ食べるには自転車が必要なんだ…
」。
アントニオは藁にもすがる思いで占い師を訪ねたが、「
すぐに見つかるか、ずっと見つ からないかのどちかだ
」 と、期待外れの言葉しか得られなかった。
落胆し、外へ出たアントニオの前を、犯人らしき男が通り過ぎた。アントニオは後を追い、男 を捕まえて問い詰めていたが、男の顔見知りである界隈の住民たちが現れ、アントニオは取り囲まれてしまった。
機転を利かせたブルーノが警官を呼んで、アントニオは難を逃れた。父子は警官と一緒に男の 家 を調べに行ったが、自転車は見つからなかった。警官に 「
証拠もない、証人もいないではどうにもならない
」 と言われ、アントニオは住民たちの罵声を浴びながら立ち去った。
打ちひしがれ、道路に座り込む父と子…。
『自転車泥棒』 予告編動画
◆
主な出演者など
・
アントニオ役
… ランベル ト・マジョラーニ
Lamberto Maggiorani
・
ブルーノ役
…
エンツォ・ スタヨーラ
Enzo Staiola
・
マリア役
… リアネーラ・カレル
Lianella Carell
・
バイオッコ役
… ジーノ・サルタマレンダ
Gino Saltamerenda
・イタリア・ネオレアリズ モを代表する1作であり、最もポピュラーな作品。
彫刻家・画家で作家でもあったルイジ・ベルトリーニが1946年に発表した同名の小説を、
デ・シーカ監督
と名コンビだったチェーザレ・ザヴァッティーニ等が脚色。『靴みが き』
(1946年)
に引き続き、アカデミー賞特別賞
(現在の外国語映画賞)
を受賞した。
(右の写真) 左から、デ・シーカ監督、ランベルト・マジョラーニ、エンツォ・スタヨーラ
・演技の経験が無い素人がキャストされた。ランベルト・マジョラーニは電気工場の労働者 だった。エンツォ・スタヨーラは町でデ・シーカ監督にスカウトされた。リアネーラ・カレルはジャーナリストで、デ・シーカ監督にインタビューをしたことが きっかけで起用された。
(左の写真) デ・シーカ監督 (中央) とランベルト・マジョラーニ(右)
3人とも俳優業を続けたが、大きな成功を収めることは出来なかった。
・デ・シーカ監督は既に成功を収めていたが、依然として製作資金の調達に苦しんでいた。そ んな折、ハリウッドの製作者
デビッド・O・セルズニック
から資金援助の申 し出があったが、その条件が、主役に
ケーリー・グラント
を起用することだったため、デ・ シー カ監督は断ったという。
(右の写真) デ・シーカ監督とエンツォ・スタヨーラ
・映画のラスト・シーンで、デ・シーカ監督は、敬愛する
チャップリン
にオマージュを捧げているとされている。
・マカロニ・ウエスタンの巨匠セルジオ・レオーネが助監督を務めており、アントニオとブルーノが雨宿りする場面で、神学生の1人として出演もしている。
・アントニオが壁に貼るポスターに描かれている女優は
リタ・ヘイワース
。