第1回「少年の国」
明治、伊予松山に3人の男がいた。日露戦争において大きな役割を担った秋山好古(阿部寛)と真之(本木雅弘)兄弟と、明治を代表する文学者・正岡子規(香川照之)である。好古は無償で入れる学校を求めて、東京の陸軍士官学校に入学。子規も大学予備門を目指して上京した。真之は松山で屈折した日々を過ごすが、やがて兄から「上京せよ」との知らせが届く。東京で明治の文明開化にふれた真之は、子規とともに予備門入学を目指す。
第2回「青雲」
真之(本木雅弘)と子規(香川照之)は、東京大学予備門に合格する。しかし、真之は自分が何をすべきか悩む。「俳句をやりたい」という子規を見て、真之は「一身独立」という兄・好古(阿部寛)の座右の銘を深く考え、予備門を退学し、海軍兵学校に入学する。好古はフランスの陸軍士官学校に留学し、後世“日本騎兵の父”と呼ばれることになる。明治という生まれたばかりの時代のなか、3人の主人公は将来に向かって歩み始める。
第3回「国家鳴動」
憲法を制定し近代国家の基礎を固め始めた日本だが、来日中のロシア皇太子ニコライが襲われ、ロシアとの間に緊張が走る。さらに朝鮮半島では東学党の乱が起こり、清国が朝鮮に出兵。日本も出兵を決定する。海軍に入った真之(本木雅弘)と、フランスから帰国していた好古(阿部寛)は、臨戦態勢に入る。巡洋艦浪速の艦長・東郷平八郎(渡哲也)は、清国兵を満載した英国籍の商船・高陞号と遭遇。撃沈か否か、決断を迫られる。
第4回「日清開戦」
東郷(渡哲也)が英国船「高陞号」を撃沈し問題となるが、国際法上合法であることが判明し鎮静化する。好古(阿部寛)は出征し、旅順要さいの攻撃に参加。子規(香川照之)は従軍記者として戦場を訪れ、戦争と文明について再認識する。真之(本木雅弘)は巡洋艦「筑紫」で初めて実戦に参加するが、自分の命令で部下を戦死させたことに衝撃を受ける。戦後、東郷に出会った真之は「よい指揮官とは何か?」という疑問を投げかける。
第5回「留学生」
日清戦争後、真之(本木雅弘)たち海軍の若手将校に海外留学の話が持ち上がる。真之はヨーロッパの大国よりも、あえて新興国アメリカへの留学を決意する。真之の親友・広瀬武夫(藤本隆宏)は、将来の日露の衝突を予見し、ロシアへの留学を希望する。真之はアメリカで新興国の勢いを感じ、伝統にとらわれない合理的な戦術に目をみはる。世界情勢は、ヨーロッパ列強に日本・アメリカが参入し、新しい時代を迎えようとしていた。
第6回 「日英同盟」
明治33年、真之(本木雅弘)と広瀬(藤本隆宏)は英国で再会する。そのころ、清国では北清事変がぼっ発。その講和処理をした小村寿太郎(竹中直人)は、首相・桂太郎(綾田俊樹)と共に、ロシアの脅威に対抗するため、日英同盟の締結を押し進める。一方、伊藤博文(加藤剛)は、対露協調路線を探るため、独りロシアに渡り交渉を行うが、失敗。帰国命令が下りた広瀬はアリアズナ(マリーナ・アレクサンドロワ)との別れを惜しむ。
第7回 「子規、逝く」
明治35年、海軍大学校の教官をする真之(本木雅弘)のもとを訪れた高橋是清(西田敏行)と八代六郎(片岡鶴太郎)は、真之を華族女学校の活人画の会場へ連れ出す。真之はそこで、稲生季子(石原さとみ)に出会う。北清事変後、清国駐屯軍司令官となっていた好古(阿部寛)は実力者・袁世凱(薛勇)と面会。袁は好古の人柄に引かれ、一目置くようになる。病と闘いながら創作活動に励んでいた子規(香川照之)に、ついに最期が。
第8回 「日露開戦」
季子(石原さとみ)と再会した真之(本木雅弘)は、結婚を決意。好古(阿部寛)は、シベリアでロシア陸軍の演習を参観し、コサック騎兵の力を目の当たりにする。日露間の緊張が高まり、両国政府が交渉を続けるなか、児玉(高橋英樹)は陸軍参謀本部次長、東郷(渡哲也)は連合艦隊司令長官となる。東郷から真之は、連合艦隊の作戦参謀を拝命。戦艦・三笠で待つ真之らのもとに、ついにロシア艦隊への攻撃を命じる封密命令が届く。
第9回 「広瀬、死す」
旅順港内に閉じこもるロシア艦隊を攻めあぐね、連合艦隊では湾口に船を沈め敵艦隊を港内に封鎖する閉塞作戦が提案される。真之(本木雅弘)は生還率が低いため反対するが…
第10回「旅順総攻撃」
旅順要塞に守られたロシア旅順艦隊を撃破するため、海軍は陸軍との作戦会議を開く。真之(本木雅弘)は、二〇三高地のみを落として、そこに観測点を置き、艦隊を砲撃することを主張。しかし児玉(高橋英樹)は要塞そのものの陥落が陸軍の目的であるとして、真之の意見を退ける。陸軍は乃木(柄本明)を第三軍司令官に任命し旅順攻略を命じるが、旅順要塞はベトンで固められた近代要塞で、正面攻撃を敢行するもことごとく失敗する。
第11回「二〇三高地」
陸軍は旅順要塞の正面攻撃に固執し、第三次総攻撃も失敗。苦悩する乃木(柄本明)は、あくまで正面攻撃を主張する第三軍の幕僚たちを抑え、二〇三高地の攻略を決意する。児玉(高橋英樹)は軍の秩序を犯すことを承知で、乃木の代わりに第三軍の指揮を執るため旅順へ向かう。児玉は攻撃計画を修正し、二〇三高地を全力で攻める。死闘の末、二〇三高地はついに陥落。陸軍がロシアの旅順艦隊を砲撃し、海軍の旅順口封鎖は終結する。
第12回「敵艦見ゆ」
真之(本木雅弘)はバルチック艦隊との決戦に備え、「七段構えの戦策」を立案。準備を整え対馬海峡で待機する連合艦隊だが、敵艦隊は現れない。津軽あるいは宗谷海峡に回るのではないかと業を煮やした真之は、東郷(渡哲也)に艦隊の移動を進言するが、東郷は「敵は対馬に来る」と、ひと言。一方、陸軍はロシア軍との一大決戦を迎える。好古(阿部寛)の活躍もあり、“日露戦争の関ヶ原”と呼ばれた奉天会戦に勝利するが…。
第13回「日本海海戦」<終>
真之(本木雅弘)立案の「七段構えの戦策」により、連合艦隊はバルチック艦隊に壊滅的打撃を与え、歴史的勝利を収める。しかし日本の国力は限界にきていた。アメリカを仲介にロシアと講和を結ぶが、賠償金を得ることはできず、新聞各紙は「弱腰の講和」と政府を批判。不満を持つ民衆が、日比谷で焼き打ちをする。帰国した真之は己の深い苦悩を妻・季子(石原さとみ)に打ち明ける。坂の上の雲を目指してきた明治日本、その先…。