江戸時代の後半、日本と世界をつなげた地図があった。大日本沿海輿地全図(だいにほんえんかいよちぜんず)。
伊能忠敬らにより作られたことから伊能図とも呼ばれている。
海岸線など日本の形が正確に描かれ、幕府により門外不出の国家機密となった。
この地図を入手しようと暗躍したのが、あのシーボルト。
そして、幕末、この地図に導かれ、アメリカのペリーやロシア艦隊が来航。日本は動乱に巻き込まれることに。
地図が紡いだ物語。
ペリーより半世紀も早く日本に開国を迫ったロシア。北からの脅威に驚いた徳川幕府は、蝦夷(現在の北海道)の調査を開始しますが、そのためには正確な「地図」が必要でした。伊能忠敬に学び「大日本沿海輿地全図(だいにほんえんかいよちぜんず)」完成に協力した間宮林蔵について紹介します。
進んだ西洋医学を日本に伝えたことで知られるドイツ医師シーボルトは、実はオランダ政府から日本情報の収集という密命を受けていました。そのターゲットが、完成した「日本地図」。シーボルトは幕府天文方・高橋景保とつながりを持ち、その案内で江戸城に保管されていた地図に近づきます――。
「日本地図」をめぐってついに国外追放となってしまったシーボルトですが、ひそかに地図の複製を作成、持ち出していました。結局海外に流出した日本地図は、欧米列強の激しい「日本開国競争」を引き起こします。そしてシーボルト自身も、アメリカ・ペリー艦隊の日本行きの話を聞きつけ……。
『シーボルト』(板沢武雄 吉川弘文館)
『未踏世界の探検者 間宮林蔵』(赤羽榮一 清水書院)
『よみがえれ!シーボルトの日本博物館』(国立歴史民俗博物館 青幻舎)
『ペリー艦隊日本遠征記 上・下』(オフィス宮崎 翻訳 万来舎)
『近世日本の北方図研究』(高木崇世芝 北海道出版)